ビショップス・パレス・ガーデン The Bishop's Palace and Gardens
ウェルズ大聖堂(Wells Cathedral)は2004年の旅の最終日に車窓から眺めた。立派な教会に「いつか必ず」と誓ったものだ。 あの日は道に迷ったり、探した店が見つからなかったり、カメラをスーパーのトイレに置き忘れたりのアクシデントが多かった。 ピクシーの仕業ではないかと思っている。今日は気をつけよう。
大聖堂の隣にビショップス・パレス・ガーデンがある。
サウス・ストリートのカーパークに車を止め、通りを行くとマーケット・プレイスに出る。ここで目に付いたのが白鳥のオーナメントだ。
1.5mくらいの大きさで同じ形だが、デザインが違うものがあちこちにある。
"Swans of Wells 2012"という女王のダイアモンド・ジュービリーを祝うイベントで、
60周年に因み60個のオーナメントが異なるアーティストによりデザインされたものだ。この6月から9月までウェルズの街を始めサマーセットの各所に展示された。
そして9月の末にはオークションに掛けられその収益はチャリティーとして寄付されるのだという。
(ホームページによれば11万ポンドの入札額になったという。約1500万円、1個平均25万円、妥当なところだ。
因みに、アーティストには入札額の25%が渡るのだという。26th NOV 2012)
マーケット・プレイスの""The Bishop's Eye"というゲートを入り"Palace Green"を進むと濠の向こう側に立派な"Gatehouse"が構えている(写真右)。
跳ね橋を渡りゲートを潜ると"The Croquet Lawn"だ(写真下左)。正面に見えるランセット窓が"The Chapel"だ。
ここまでは入場無料だが、鎖の向こうに進むにはチケットが必要だ。
13世紀当初に大聖堂が築かれる前からここにはガーデンがあったという。大聖堂の主教の宮殿の庭としては歴代の主教の手により変化・発展してきたものだ。
19世紀中頃の一主教が16世紀に建てられた"Great Hall"の廃墟の南の壁を取り除き、残った部分を装飾的カーテンに見做したのだ。
緑の芝生(South Lawn)と中世の透かし彫り飾りの窓が見事に調和している(写真下中2枚)。
サウスローンに寂寥として立つ像に身震いする(写真下左)。気温が低く雨が降っている所為ではない。
”巡礼者(Pilgrim)”と名付けられた像は廃墟の庭に余りにマッチして物悲しい。
宮殿の北側に回るとフォーマルガーデンがある。中央に大きなコンテナがある(写真上右)。陽だまりのメインコンテナに良く似た形だ。
これを中心に十字の通路で4つのボックス・ヘッジに仕切られている。
各ボックス・ヘッジの植栽は樹木、潅木、宿根を取り込んだスケールの大きなものだ(写真下左)。壁の植栽も極めて重厚だ(写真下中2枚)。
その一角の像は”アダムとイブ(Adam and Eve)”と題されている(写真上右)。エデンの園から追放される二人を表しているという。木製で1946年作だ。
北側の濠を渡る木橋が架かっている。大きな柳の枝垂れる枝で覆われている(写真下右)。渡った先の芝生の中に十字架を支える(縋りついているようにも見える)
子供を表した彫刻がある。”我々の罪の重み(The Weight of our Sins)”と題されている。地球上の子供たちに対する虐待を告発するものらしい。
各々の子供が大量虐殺、エイズ、麻薬、地雷、ホームレスなどの虐待の象徴なのだ。心痛む。
木橋の上から堀を悠々と泳ぐ白鳥が見える(写真下左)。コブハクチョウ(Mute Swan)らしいが、この白鳥についての面白いエピソードがある。
1870年代の主教の娘が、この堀の白鳥にゲートハウスの窓から吊るしたベルを鳴らすと餌をもらえるよう訓練したらしい。
それが伝統となり150年間続いているのだという。
管理人が在室中は紐の付いたベルを窓の外に吊るしておき、白鳥が餌を求めてベルを鳴らすと窓から餌を与える。という誠にのどかな伝統なのだ。
(不在の時には白鳥を失望させないようベルは外しておくのだ)
ところが、前の白鳥が死んでしまい、この6月から新しい番いの2羽が訓練中なのだが、それがなかなか難しいらしい。2羽は飲み込みが遅いだけでなく、
カモなどこの濠に居ついた水鳥の妨害を受けているらしい。
張り紙の"Swans in Bell Trainning"が面白い。(詳しくはこのサイトを 写真右もこのサイトから)
宮殿の北、隣接する大聖堂の東に"The Well Pool"がある。ウェルズの街(City of Wells)の名前の由来となった泉で1秒間に100リットルの水を湧出するという。
水は濠を満たし、シェッピー川(River Sheppey)に流れ込んでいるのだ。この神聖な泉の近くに8世紀からサクソン人の修道院があったのだという。
その水に映る大聖堂が美しい(写真下中2枚)。
"The Well House"という小さな建物がある(写真下右)。1451年にマーケット・プレイスに建てられた市民のために水を供給する井戸小屋を
ここに移したものだという。屋根の上の像は時の主教の愛犬(Talbot Dog)だ。
Address | Wells, Somerset BA5 2PD |
Telephone | 01749 988111 |
Web Site | The Bishop's Palace and Gardens |
オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは
Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。
「旅行記」もご覧ください。